アレクサンダーテクニーク学びの次の段階へ!
今月から、私の通っているアレクサンダーテクニークの学校BODYCHANCEの教師養成コースで第二段階と呼ばれる段階に入ることになりました。
これは、
第一段階(身体の動きやしくみについて2年間、動きと思考の関係や物事を行うための思考のプロセスについて2年間、教え方についての基本的なことを2年間、)を学び終えた人が、アレクサンダーテクニークを教えることをさらに深く学び実践力をつけるコースです。
第一段階の各コースは同時に履修したり、ひとつづつ取っていったりできるので、最短2年、最長6年かかるのですが、わたしは3年かけて修了しました。
わたしは30年以上公立小中学校の音楽教諭として生きてきましたので人に教えることに慣れています。その後も大学で専攻していたフルートの講師としていろいろなところで教えていますし、臨時的に中学校音楽教師の仕事もお手伝いしたり、初任者の授業実践指導を行うこともあります。地域の公民館の音楽講座などでも演奏しながら教えることもあります。
言ってみれば教えることはベテランなのです。(自分でいうの、はずかし。)
その私がここにきて、BODYCHANCEで学び、「教える」ということのあり方について大きく考えを変えることになりました。そして今、次の段階に入り、その考えを実践に移すことになったのです。
教えるようになる前に、幼い時からずっと、教わってきました。親や学校や個人レッスン、お稽古事、塾、だれかに尋ねたり、行きがかりで、など、人から教えられることは生まれてからずーっと続いてきています。その中で多くは、指導者の「ダメ」から、始まっています。
「あー、そんなことしちゃお洋服が汚れちゃうでしょ!」
「息を吸うとき、肩を挙げないで!」
「唇はそんなに力を入れないで吹きなさい」
教わるほうも、
「今日のレッスン、わたくしといたしましては何とか練習して、そこそこできるようにはなった気がするのですが、未熟者のこのわたくしのこと、数々の至らないところがあるに違いないので、それはどこらへんで、どう直せばよいのか、教えていただきたい。」というダメ出しを求めてレッスンに通います。それはとても当たり前のことと思っていました。
それ以外の方法など考えもしませんでした。そして教えるようになった時、やはり教わったように教えているのです。
教えない教え
Tomyから学んだこと
トミー トンプソンさんはBODYCHANCEにちょくちょく教えにいらっしゃる海外ディレクターで世界20か国で教える世界的なアレクサンダー教師。アメリカの方です。
(彼に限らず私が習ったすべてのアレクサンダー教師も言っていることですが)彼はこう言こういました。
伝統的レッスンで行われる、間違っている人の、間違いを指摘するやり方とは違って
どんなことをやっていたとしても、その人はその人であり、することは先生ではなく、生徒が決めること。
こうあるべき、と先生が一つの定義をしたら、そしてそれを生徒がそう従ったら、お互い満足かもしれないけれど、今後、様々なことが起きるかもしれない、そのことにその定義で対応できうるものでないかもしれない。
その定義は先生だけのもの。
こうもあり得る、かも(こうあるべき、ではなく)。
これは提案で、その提案を受け入れるかどうか、いくつかの提案から選ぶのは生徒なのだと。
ちょっと面倒くさいな、回りくどいな、効率悪いな、よくない選択をするかもしれないのに無責任だな、という気持ちが少し湧きました。
苦労して体得した先達からの教えを生徒にストレートに教えていくことはいけないことなのかなあ、ダメも含めて、と、疑問にも思いました。
あ、でも伝統芸能の師匠は決して定義や結論を真っ先に弟子に教えたりしないな、自分で試行錯誤させるところを見守っているイメージだね、そういうことか。
頭の中は少し混乱してはいましたが言わんとするところは理解できましたし、強烈にインプットされ、頭のどこかにいつもありました。
しかし、なかなか、そういったアプローチはできず、目先の気になるところにフォーカスし、あ、それではやっちゃダメ、それではなく、こう。という従来型の教え方をし続けてきました。
ケンさんのレッスンから学んだこと
数日前の授業で歌う人のアクティビティレッスンを見ました。先生は安納献(ケンさん)
歌うとき息を吸うときに、猫背になる、腕(肩かも)が身体の内側に巻き込む、という悩みを解決したいという望みを持っている人でした。
ケンさんがいくつかの提案を次々とし、それを実験してみることを繰り返し、次第に声はよくなっている、つまり、身体の使い方がよくなってきて発声にいい影響を与えているようでした。
でも、腕、肩の改善はあまりないように見受けられました。
レッスンの後、質問しました。
「腕、肩の問題はあまり改善されていないように見受けられますが、直接、腕や肩の問題に触れないのですか?」
するとケンさんは
「私たちは生徒さんに対して、
今、これでOK、あれでもOK、これもできていてこれでもOK! のスタンスを取ります。
あれができていない、これがダメ、これはやめて、
を教える側が 思っただけで、トゲがでる。
その人のOKがダメになっちゃう。
我々のお仕事は
1.(頭と脊椎の協調作用をベストに導く)協調屋さん
2.生徒さんの学びの環境を整えてあげる人
なのです。
いくつかの提案で生徒さんが選択し、探求を続け望みに向かっていくいい環境を保ってあげることが大切で、まだ、ここができていない、などという否定的なことを少しでも言ったり思ったりするだけで、生徒さんはそれを感じてしまい、だいなしになってしまうんです。」
それを聞いてトミーさんの言葉を思い出しました。
もちろん、否定形を使わずに提案し続けるというセオリーは学んできていて知っていますが実際のレッスンの中でそれを体得できたのです。
今をすべて受け入れ、肯定し、さらに新たな提案を加え選択してもらうことを続けるなかで、生徒さんは自分の力で、探求をつづけ、獲得していくのです。
せっかくいいレッスンだったのにおろかな質問をしたために、レッスンを受けた本人は傷ついてダメになってしまわないか、心配です。ごめんなさい。でも、その場にいた人たちはそれでいいお話が聞けて良かったと思うので、許してください。教えることを学ぶティーチングメソッドのクラスなので。短時間に確実に身体の使い方はよくなってきたプロセスも学べましたし。ありがとうございました。
順子さんのレッスン
自分の3年間をふりかえると、一番たくさん授業をうけた
から教わったやり方、アクティビティレッスン、すべて私を受け入れて提案してくれていたじゃないですか。
いつも安心できる平和な空間だったのはすべてOK、今が自分史上最高なんだ、と言い続けてくれたからじゃないの。
ダメ、じゃなく肯定してくれた結果、格段に自分は進歩でき、多くのことを獲得できた気がします。
私もそんな教師になりたい、と30年以上教師をしてきた私がまるで少女のようにキラキラしています。